金魚鉢

オタクって楽しい

かみさまをみにいこう

 

これは2.5次元舞台あんさんぶるスターズオンステージをはじめて観劇した弱小オタクの吐き出すなにか。

 

ネタバレとかなににも配慮してないし誰かの地雷を踏んでいるかもしれない。知らん。

 


そもそも私はあんさんぶるスターズ(原作)を友人のすすめではじめた。ダーハロで見事に朔間零に落下し、そこからずっと這い上がれないでいる。今でも1番好きな推しのJPEGはファントムヴァンプだし、これからもずっとそうだと思う。☆4だけどその絵柄のグッズもっとくれよ。

 


あんステが始まるのはたぶんなにかの雑誌に小さく載った写真で知った。その頃はまだ2.5次元なんて微塵も興味なかった。「へ~推しの顔いいじゃん」という感想だった。でも地方住み大学生には遠い世界だった。

 


そこから数年後、あんスタ沼に落とした友人とは別の友人と卒業旅行で10日間イタリアに行った。めっちゃ楽しかった。そして何故かその10日間ずっとあんステを布教された。ホテルでもどこでもしんぎんしゃいんを歌い・踊る友人。いや、君あんスタ好きだったっけ???初耳なんだけど??

 


10日間とはすごいもので、「推しの顔がいい」という印象しかなかった私が、帰国する機内でずっと「あんステの円盤ほしい、スープスト●ク食いてえ」と繰り返していた。スープスト●クはイタリアンに飽きた私の心の叫びである。成田で食べたスープスト●クは美味しかった。日本最高だなって思った。

 


スープスト●クで心を満たした私は成田から地元に帰る飛行機に乗るために羽田に行くべきところを新宿に向かっていた。そう、アニメイト新宿であんステ円盤を買い、いちごのパフェを食べるためである。いちごのパフェはかの有名なタカ●フルーツパーラーにある。ちなみにめっちゃ美味しかった。全人類食べてくれ。

 


お家に帰り、推しが出ている円盤を観た。そこには今まで文字でストーリーを追うしか無かったあの革命が、推しが後輩を育て、協力する姿が映像として飛び込んできた。私が思い描く推しがそこにいた。すごいと思った。

 


推しのことを顔が良くて頭もいいけど生活面においてポンコツおじいちゃんと捉えていた。それも間違ってないと今でも思ってる。けど、推しがアイドルをする姿を今まで観たことがなかった。過激で背徳的な面を知らなかった。正しくは「文章中では知っているが想像できていなかった」。

メロダでマイクスタンドを使って踊る姿を見て、頭を殴られたような衝撃だった。いや、頭殴られたことなんてないけど。

 


そこから次発売の円盤を予約し、あんステフェスに応募し、落選した。悲しかった。でも今考えたら、初めての2.5の現場がライブじゃなくてよかったのかもしれない。知らんけど。生で観たかったけど。

 


そのしばらく後推し主演の舞台が決定した。でぃすとらくしょんろーど…?曲名じゃん。えっクロスのモチーフある。あ"っ俺様ちゃん……これは……クロスロードじゃん。

 


原作で俺零ちゃんが初登場したエレメント。☆3のJPEGが出た時に友人に「待ってwww私の推しタカ●ヅカじゃんwww」とのLINEを送った記憶がある。友人からは「言うと思ったわ」とアッサリとした回答がきた。冷たい。

 


俺零ちゃん、実はそんなに好みでは無かった。だって私が好きなのは博識な年長者だから。落ち着いた子が好みだから。

とはいいつつもちろん推しなのでJPEGはきちんと回収した。

 


その後、推しがメインであるイベ、クロスロードが行われた。推しはポイボだったのでさくっとJPEGの回収は終了した。そしてストを読んだ。メインストで推しがトリスタに協力した意味が少しだけわかった気がした。なんだかよくわからないけど泣いた。敬人が晃牙くんに言った「神様と同じ場所で、正気を保ったまま生きていけるほど人間強くないぞ」の言葉に推しの孤独を感じた。

 


それと同時に推しに神性を感じ取った。他人にそんなことを思わせることができるなんて。この辺りから私にとって推しは神様だった。最初はオタクなのでもちろん推しとカップリングさせた子がいた。推しが恋愛をしている様を支部で見るのは最高だった。マイナーカプと呼ばれるアレなんだろうけど、それでも楽しかった。でも、違うと思ってしまった。推しは神様だった。博愛主義に見えてしまった。キリストがそうであるように。だから推しカプは好きだけど、しっくり来なくなった。推しは誰か1人を愛するのではなく世界を、全てを愛するのだという解釈に変わった。

 


舞台の話に戻そう。

DRの上演が決まってからはどうしても生で観てみたくてたまらなかった。神社で神様にお願いもした。私の神様を見れますようにって。よく考えたらめっちゃ怖い奴である。お願いされた神様も意味不明であっただろう。

 


そうして最速先行のついた円盤を積み、プレミアムチケットを当てた。最速先行当たったのは1公演だけだった。

きっと困惑した神様がなんとか叶えてくれたのだ。

東京には飛行機を使っていかないと行けないところに住んでいるので1公演でも充分だった。

 


友人たちに当たったよ~~!!と喜びのLINEを送りまくった。みんな優しかった。さんきゅー。「まあ円盤積んだけどね。ハハッ」と言っても「?積んでも当たったならいいじゃん」とのお言葉ももらった。さすがオタクの友である。

 


うちわをせっせこと作りながら毎日を過ごしていると、チケット発券の日がきた。つまり席ガチャである。平日だったので昼休みになった瞬間、職場近くのローソンまで走った。いや、さすがに大人なので実際走ってはないけど普段の5倍くらいは早足で歩いた。

 


店員さんに発券してもらい、職場の会議室でそっとチケットを見た。

 


「1階A列●●番」

 

 

 

は?????

 


そこからの記憶はイマイチ無い。友人たちに怒涛のLINE攻撃をしたことだけは覚えている。

 


初2.5の現場で最前とは。

ここからは正直楽しみよりも恐怖の方が大きかった。初の現場だし、なにかマナー違反をしてしまうかもしれない、2.5の客層は過激な人多いっていうしいろいろ言われたらどうしよう…そんな考えばかりだった。

もちろん、マナーや暗黙のルールについては調べられるだけ調べて、現場に行ったことのある友人に話も聞いた。それでも怖かった。

 


特に今までライブでも、イベントでも、コラボカフェですら、高校からの友人や職場の先輩と一緒にしか行ったことがなかった。なのに今回は1人である。普段、リアルでオタクに囲まれていて、ネット上に友達がいるわけでもない。正真正銘の1人である。

 


舞台前日に東京に着いた。着いたその日はトーハクに行きたいからとわざわざ東京まで着いてきた母親と横浜巡りをした。ついでに推しをしている役者さんが昔ツイッターにあげていた場所で写真も撮った。恥ずかしかった。そして焼き小籠包やっぱり美味しい。あれ近所で売ってくれないかな。

 


翌日、朝の7時に母親から起こされ、トーハクへと行った。三日月さんを見た。とても美しくて吸い込まれそうだった。

 


この日のソワレ鑑賞のため、私は黒に紫のお洋服、そして黒のチョーカー、黒と赤のネイル、ブランド物のバッグ、強そうなイヤリングをつけて、濃い目のメイクも施し、準備は万端だった。途中ヘアメイクもした。友人に自撮りを送ったら「●●ちゃん、朔間兄と戦いにいくの?」と言われた。うける。負けるわ。

 


母親と上野駅でわかれ、天王洲へと向かった。上野駅でわかれるまえ、「1人やだぁ~こわい~おかあさんも来てよぉ~」と駄々をこねたのは秘密である。母親は上野動物園ハシビロコウを見に颯爽と去っていった。

 


上野から天王洲まででぃすとらくしょんろーどを聴きながら、精神を落ち着かせようと試みていた。無理なのはわかっていたけど、それしかできなかった。

 


そして天王洲の駅に着いてしまった。突然周りに発生する若い女の子。アッみんなDR見に来たオタクなんだ。すごい。エッこわい。みんな2人組じゃん。ぼっちのオタクいない。強そうこわい。この時点で自分がかなり治安悪めの格好をしていることはすっかり忘れているのである。きっと周りのお嬢さん方は私をみて「うわ、強火のオタクじゃん」と思ったことだろう。

 


冷静ではない私は、自分の格好も忘れ、せめて強そうに見えるように、自分に自信があるように背筋を伸ばして、ヒールをカツカツ言わせて天王洲の駅から銀劇まで歩いた。なんてったって、私は朔間零のオタクなのだ。強くないと。という謎の脅迫観念である。本当なんでだろ。

 


受付でチケットを確認され、いざロビーへ上がった。

 

 

 

いっや、人多いわ!!!!!!!!!!!

 

 

 

狭いロビーに大量のオタク。ほぼ身動きが取れない空間。なんでみんなこんなとこにいるの???物販???違うみたい???

 

 

 

アッ交換だわ。

 

 

 

すごい。すごい熱量だった。みんな推しを手に入れるためにあの場に留まっているのか。すごいな。ちなみに私もランブロは購入したが、交換なんてできなかった。知らん人に声かけるのこわい。コラボカフェとかで知らん人から交換のために話しかけられてもアッエッアッとかしか言えないような奴が自ら声をかけるなどできないのだ。

 


物販の列にさくっと並び、ものの数秒で(規制音)円を飛ばし人混みを掻き分け、プレミアム特典を交換し、限定ペンライトを受け取り座席に着いた。

 


一安心。

 


いや、できねえんだわ。舞台ちっか。階段足伸ばせば届くやん。え、てかこの前の通路アイドルたち通るよね。あれ、足どこ置こう?大混乱である。だれか教えてくれよ!!!周りを見てもみんなお友達と「え~~めっちゃちか~~い」ときゃっきゃしている。そうだよなぁ!!!私も今まで友人とそうやってきゃっきゃしてたわ。ごめんなさい反省しました。今度から心細そうな人みたら心配の目線を送ります。コミュ症なので話しかけることはないんですけど。

 


なんとか荷物を置き、足の置き場を決め、目の前を見ると幕がひらひらしている。幕もこう、ざっくり切ってあるので私の座席からセットが見えてる。ここが最後のカテコでポイントになるんですけど、この時は「わぁひらひらしてる~セット見えてる~」としか思ってません。なんてったって初めてなので。

 


そこから影ナレが始まるまでの数十分は人生でいちばん緊張していたかもしれない。大学のゼミのおじいちゃん先生に「●●さんって緊張しないでしょ~こう、どーんと構えてるもんね~」とほやほや言われるくらいには自他共に認めるハートの強さなんだけどめっちゃ緊張した。

 


上演10分前にスマホの電源を切った。スマホ依存の私にとって最後の頼み綱が切れたようなものだ。ばいばいマイスマホ。でも影ナレが始まって慌てて手放すよりも100000000倍マシである。スマホと強制的にお別れした私は虚空を見つめていた。することがないからである。虚空を見つめながら、今ステージの裏では円盤の特典映像で見るようにキャストさんたちがきゃっきゃしているのであろうか。なにそれ尊い。とひたすら考えていた。いや、今考えても尊いわ。

 

 

 

「震撼しやがれ愚民ども!!!どいつもこいつも生まれてきた意味がわかんねえか?」

 


生まれてきた意味は推しを拝むためです。とは言えずぽかーんとアホヅラを晒すしかない弱小オタクの私。

 

 

 

最高だった。それだけしか感想は無い。もう世界に感謝するしかない。

曲終わりに推しと数秒間目が合ってしまった。世界が止まっていた。今でもあの瞬間は脳に焼き付いている。晃牙くんのセリフに「あんたが真正面から、その地獄の王さまみたいな真っ赤な瞳で俺を見てくれたら俺その瞬間に死んでもいい」ってのがあるけど、本当にそれ。いや、ましでそれ。ステでは笑いどころみたいなセリフとして扱われてたけど、私は本気でそう思ってしまった。俺零ちゃんそんな、うん。って言ってた私をぶん殴りたい。美しさと強さと少しの寂しさを兼ね合わせたかみさまだった。でも彼は自分が神様扱いをされるのが嫌なのだ。推しの嫌がることはしたくない。けど彼は私の神様だ。彼になにも求めないからとりあえず崇拝させて欲しい。それでも推しは嫌なんだろうけど。でも。

 


その後も目の前の階段に人が座るたびにひょってなったり、階段に座った子とばっちり目が合って微笑まれてしまい、恋に落ちる音がしたりと脳みそをガンガンに揺さぶられる体験を続けていた。

 


体感時間は5分だった。最後のしんぎんしゃいんをやる前に推しユニがまだ終わらないよ~!って言っててなにを言ってるのかわからなかった。まだ終わらないよ??あと1000時間しなきゃじゃん。

 


しんぎんしゃいんも終わり、幕が降りつつある。みんなアイドルだから幕が降り切るまで手を振ってくれる。最前なので最後まで見えてる。そして私の目の前はざっくり布が切れている。そう、人1人分見えるくらいには。最後幕が降り切るまで、ずっっっと目が合っている子がいる。いや、いやいやいやいやかわいいかよ。ずっっっと笑顔で手振ってるじゃん。かわいい。無理。

 


ダブルカテコになりました。また、幕が降りる。そしてまた立ち位置は変わらないので、同じ子とずっっっと目が合って、笑顔で手を振ってくれている。いやいやいやいやいや。かわいすぎてどうにかなりそうだった。

 

 

 

すごすぎるな。

 

 

 

もう1人で不安だったことなどすっかり忘れて、彼らの笑顔を胸にるんるんと会場を後にした。るんるんだったので、本来モノレールに乗るべきところを普通にりんかい線に乗ろうとしてた。いや、帰れねえよ。乗り換えアプリで調べたのになぜ間違える。

 


そして乗ったモノレールの車両には私しかいなかった。こっっわ。東京なのに人がいない。こっっわ。夢か?私、推しと目が合った瞬間に本当に死んだんか?と真剣に考えた。

乗り換えで別の電車に乗ると、座ってたサラリーマンが、私を二度見したので生きていることがわかった。そういえば治安の悪い格好してたわ。

 

そうして翌日地元への舞い戻った私は円盤の予約を行い、次の公演へ応募するのであった。

 


当たるといいな。